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今さら聞けない超キホン!「円安」って一体なに?暮らしへの影響は

2022/6/29

小高未絵

最近ニュースでも話題の「円安」。いろいろなものの物価が上がったり、商品の質が下がったり、円安の影響で日本経済ではさまざまな変化が起こっているようです。 そもそもこの円安とは、なんなのでしょうか? 今回は円安の仕組みから暮らしへの影響まで、わかりやすく解説していきます!

円高・円安ってなんだろう?

円高とは、円の他通貨(主に米ドルなど)に対する価値が相対的に高い状態のこと。逆に円安とは、円の他通貨に対する価値が相対的に低い状態のことになります。 つまり、外国の通貨の価値に比べて円の価値が高くなることを「円高」、反対に低くなることを「円安」といいます。 といっても、なかなかイメージできませんよね。では、具体的に説明します。
例えば、日本円と米ドルの両替をするとしましょう。 日本の10,000円を米ドルに交換するとき、1ドル=100円であれば100ドルと交換できます。 しかし、2国間の貨幣交換レートは固定ではありません。 貨幣交換レートは誰かが意図的に決めるものではなく、外国為替市場で通貨が売買されるときの需要(買いたい量)と供給(売りたい量)のバランスで決まるため、日々刻々と変わっています。 もし両替したいときに、1ドル=83円なら10,000円は約120ドルに増えます。これが円の価値が高い「円高」です。(10000円÷83円=120.48) 逆に、1ドル=120円なら10,000円は83ドルにしかなりません。この時、円の価値が低い「円安」となるのです。(10000円÷120円=83.33)

これまでの円相場グラフから見る30年の傾向

日本銀行 時系列統計データより(https://www.stat-search.boj.or.jp/index.html)

戦後の日本では、長い間1ドル=360円の固定為替相場制でした。しかし1973年に変動為替相場制と変わり、その後はずっと変動為替相場を維持しています。 日本の経済の発展と共に、1ドル=360円だった円はどんどん価値を上げていき、1995(平成7)年には一時80円を割りこみました。 その後、2000年代は100円台から120円台で推移し続けましたが、2011(平成23)年、東日本大震災の直後、再び1ドル80円を割る急激な円高に。そして、その年10月の末には円の最高値75円32銭を記録しました。ちなみにこの記録は現在でも破られていません。 その後、円安はなだらかに進んでいましたが、2022年3月より急激に円安が進行。6月9日時点では1ドル=134円台半ばまで値下がりし、2002年2月以来、20年4ヶ月ぶりの円安水準が続いています。

円安になると、暮らしにどんな影響がある?

円安の影響で、物価が上がったというのはよく耳にする話です。 これは海外から製品を輸入する際に円の価値が下がっていると、通常時よりも高い円を払わねばならず、実質値上がりしてしまうせいなのです。 例えば、1ドル=100円の時、アメリカンチェリー10kgを100ドルで輸入できていたとしましょう。単純計算で、日本円だと10,000円で仕入れられたことになります。 ところが、これが1ドル=120円の円安時には、同じアメリカンチェリー10kgを100ドルで輸入しようとすると12,000円かかってしまいます。同じものを同じように輸入しているのに、円安のために2,000円も高く支払わないといけないのです。 そのため円安の時は輸入コストが上がり、どうしても物価が上昇してしまいます。

輸出産業では円安がメリットに

しかし、円安も悪いことだけではありません。 円安の一番のメリットは、日本からの輸出製品が値上がりすること。日本から海外に自動車を輸出する企業のように、輸出をメインにしている会社では、円安のときに販売すると通常時よりも高い円と交換することができます。 例えば、1ドル=100円の時に1台30,000ドルの自動車を輸出すると、単純計算で日本円では3,000,000円で売れたことになります。 しかし、1ドル=120円の円安時に1台30,000ドルの自動車を輸出すると、日本円では3,600,000円で売れたことになります。 つまり同じ製品を販売しているのに、円安のおかげで60万円も多く円が手に入るのです。

輸入品だけが高くなるわけじゃない!円安の様々な影響

輸入品だけが円安に影響されるわけではありません。 実は、日本国内で製造している加工品には、輸入した原料を使っているものが多数あります。 最近話題になった事例では、原料の牛肉を輸入している牛丼チェーンが、牛肉価格の高騰に加えて円安の影響で原料費が大きくかさんだため、値上げに踏み切ったというニュースがありました。 原材料を輸入に頼っているファストフードも円安で打撃を受けていると聞きます。 また、日本は原油などの資源を輸入に頼っているので、円安の時には資源の調達コストも影響を受け、一見輸入とは関係ないものまで値上がりする傾向にあります。 しかし、サービス輸出(訪日外国人によるインバウンド消費)が増えたり、海外事業から獲得する収益や配当等を通じて国内への還流額が増えたりするなど、円安が日本にもたらすいい影響も考えられます。

メリットもデメリットも把握して

円安だと物価が上昇する一方だから困る……と思われがちですが、為替の変動にはメリットもデメリットもあります。 円安ならではのメリットデメリットを理解して、暮らしへの影響を賢く切り抜けて下さいね。

参考文献:経済・物価情勢の展望2022 年 4 月(日本銀行) 参考文献:展望レポート(2022年1月)(日本銀行)

ライター:​​小高未絵 監修:エンサイドコンサルティング株式会社

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