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サラリーマン長者がESG投資に見向きもしない訳

2022/9/13

東洋経済オンライン

会社員でありながら1億円超の純金融資産を保有するサラリーマン長者は、どのようにして財産を築いたのでしょうか。5人のサラリーマン長者にインタビューして、支出を減らす方法について紹介した前回(「投資を当てにしないサラリーマン長者の共通心得」(外部サイトに遷移します))に続き、今回は収入を増やす方法です。富の源泉となった投資収入の増やし方を紹介しましょう。 まずインタビューした5人のサラリーマン長者の投資の概要をまとめると、以下の通りです。
参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/615354

ある程度の投資は必要か

5人は40~50代で投資歴は短い人で17年、長い人で31年。全員が株式投資をしています。前回の記事では5人全員が「投資を当てにはせず、倹約こそがサラリーマン長者になる王道」という話をされていました。しかし、倹約でやるべきことをやってしまえば、次に必要なのは収入を増やすこと。それにはある程度の株式投資も必要ということでしょうか。 「数千万円が目標なら、色々な投資方法が考えられます。ただ、億単位の資産を作るには、ある程度リスクを取る必要があります。リスク資産も色々ですが、限られた時間で投資でき、会社生活で得られた知識を生かせるという点で、株式がベストではないでしょうか」(川俣裕さん) ただ一人、マンション投資をしている小松芳朗さんは、意外にもマンション投資に懐疑的でした。

「マンション投資は物件選びが難しく、管理に手間がかかります。それらを業者に任せれば、誰でも気軽に投資できるのですが、その代わり利回りが低くなります。私はできるだけ業者を使わず、妻にも手伝ってもらってやっています。普通の会社員は一人でそこまではできないので、マンション投資はお勧めできません。やはり株式投資です」 サラリーマン長者になるには、株式投資が必須と言えそうです。では、5人はどのように株式投資で成功したのでしょうか。

5人は、投資スタイルや投資対象が異なり、具体的なノウハウとなると実に千差万別です。たとえば、「機動的に損切りをすることが何より大切」(加藤匡さん)という意見もあれば、「株が下がった時が買い増しのチャンス」(松本早苗さん)という正反対の意見もありました。

投資に向き合う姿勢には共通点

ただし、投資に向き合うマインド・姿勢については、かなり共通するものがありました。以下4点紹介しましょう。

1.早く投資を始めて、ずっと続ける

元手が少ない個人投資家が大きな財産を築くには、長い年月が必要です。今回の5人全員が30歳までに投資を始めて、途中で困難があっても諦めることなく、粘り強く投資を続けてきました。 「私は学生時代に投資デビューしました。『とにかく株をやれ』と勧めてくれた父には感謝しています。私と同年代(40代)の友人は『今さら投資なんて』と言いますが、まだ人生の折り返し前ですから、今すぐ始めるべきだと思います」(新田良平さん) 「とにかく続けることです。ITバブル崩壊とかリーマンショックで資産が何割も減った時は、さすがに心が折れそうになりました。そういう時でも平静を保ち、相場から退場せずに投資を続けることが、長い目で見て資産形成に繋がります」(川俣裕さん)

2.株価よりも資産額や株数を意識する

プロも含めてたいていの投資家は、「株価」の上げ下げに一喜一憂します。しかし、資産額=株価×株数。「株数」を増やすことも大切です。サラリーマン長者は、「資産額」を増やすことを目標に、移ろいやすい「株価」よりも「株数」を意識しています。 「日々の株価の動きを気にせず、長期的に資産残高を増やすことを目指して気長に投資しています。わが家の貸借対照表を作り、毎月更新し、年に1度リバランス(資産構成の見直し)をしています」(加藤匡さん) 「株が下がった時の対応で、パフォーマンスに差が出ますね。株が下がった時は、株数を増やすチャンス。ETFを毎月10万円買っているのですが、前月より3%下がったら購入額を20万円に増やすというやり方をしています」(松本早苗さん)

3. 勝つことよりも負けを小さくすることを考える

上がる銘柄、上がるタイミングを当てるのは、プロでも難しいこと。勝ち組のサラリーマン長者でも、勝ったり負けたりというのが実態です。問題は、いかに勝ちを大きく、負けを小さくするかです。 「9勝1敗でも1敗が大きければ資産は減ります。1勝9敗でも1勝が大きければ資産は増えます。勝つぞ!と意気込んでいた若いときよりも、負けないことを意識するようになって、パフォーマンスがぐんと上がりました」(川俣裕さん) 「事業内容が良く、長期の移動平均線が上向きの銘柄をリストアップし、24カ月移動平均線まで下がるのを待って買います。この買い方なら、そこから先、大きく下がることはまずありません。売るときは、逆指値を使って、損失を小さく、利益を大きくするようにしています」(新田良平さん)

4.より良い投資スタイルを探求し続ける

株に限らず勝負事は、勝ちパターンがあると断然有利です。サラリーマン長者は、試行錯誤によって優れた投資スタイルを見つけ出し、さらに、それを改善し続けています。 「ここ10年くらいは陸運・海運株のスイングトレードを中心にしていますが、それまで色んな投資方法を試し、失敗を積み重ねました。今でも、気になる投資法があったら、試すようにしています」(加藤匡さん) 「ブログや著書で『必勝法を見つけた!』と喧伝する投資家がいますが、数年間勝ったくらいで調子に乗るのはどうでしょうね。ウォーレン・バフェットでも、投資方法をどんどん変えているんですよ。マーケットも自分の資産状態も変わるので、投資をしている限り、より良い投資スタイルを探求し続ける必要があります」(松本早苗さん)

サラリーマン長者はESG投資が嫌い

ところで、個人的な興味から、近年流行のESG投資についても尋ねてみました。5人ともESGファンドを保有しておらず、個別銘柄の選択でもESGを考慮しない、ということでした。 「ESGファンドに限らずテーマ型投資信託は手数料が高く、証券会社を儲けさせるだけです。個別株でも、ESGに積極的な会社と投資収益の良い会社は別で、ESGを投資基準として考慮していません。ESGがひどい会社を投資対象から外すことはありますけどね」(新田良平さん) 「投資で世の中を良くするってどうでしょうね。私は、投資をあくまで金儲けの手段と割り切っています。そして、投資で得た利益の5%を赤十字などに寄付しています。うさんくさいESGファンドを買うより、よっぽど世の中の役に立つのではと自負しています」(小松芳朗さん)

また、5人全員が、自分の投資方法や運用成績をブログなどに公開しておらず、個人投資家同士で情報交換をすることもほとんどありません。自分で得た情報に基づき、自分なりに考えて投資しています。 前回紹介した倹約生活とあわせた結論としては、「世間の目を気にせず、流行に惑わされず、自分の頭で考えて生活し、投資する」ことが、サラリーマン長者になるための秘訣と言えそうです。 最終回の次回は、サラリーマン長者の投資以外の生活について紹介します。

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