こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。 いつの頃からか、著名人や企業による好感度の高い対応を「神対応」と呼ぶようになりました。最近では、ニュースでもたびたび使われることがあり、この言葉を見聞きしたことがあるという人は多いのではないでしょうか。

そして、「神対応」の反対語が「塩対応」です。相手が不快な感じを受ける態度=「しょっぱい対応」から変化してできたと言われています。 この「神対応」と「塩対応」をしっかり押さえておけば、職場や家庭をはじめ、さまざまなコミュニティでの人間関係が驚くほど円滑になります。 だれでも「好かれる人」に早変わりする話し方のコツを、クスっと笑えるイラストで解説した、拙著『好かれる人の神対応 嫌われる人の塩対応』から一部抜粋、再構成して、職場で役立つ神対応をご紹介します。
ネガティブな状況にいるときこそ「神対応」でかわす
「塩対応」をしてしまう心理の背景には「トラブルを避けるために相手と関わりたくない」「(気遣いから)相手と距離を置きたい」という感情が横たわっているケースがよくあります。しかし、たとえそのような理由があったとしても、日常的なシーンで「塩対応」を連発していると、人間関係が希薄になるばかりか、余計なトラブルまで招きかねません。 相手からのキツイ言葉や理不尽な言動を受けるといったネガティブな状況にいるときこそ、「神対応」でかわしていきたいものです。とはいえ、「神対応」とは、相手に媚びたり、迎合したりすることではありません。
①好印象を保ちつつ、ストレスなしに「言いたいこと」を正確に伝えられる。
②自分の意向を相手に理解してもらえて、人間関係を改善したり、深めたりもできる。
そんな態度や言葉を指します。
職場での基本言語は「です・ます調」の丁寧語。必要以上に敬語を使ったり、へりくだりすぎる必要はありません。周りの人には平等に接することが、なにより大事です。 たとえば、職場に「インターンの大学生」と、「自分よりも年上の部下」がいるときは、2人に対して〝平等な言葉遣い〞をすることが求められます。 大学生には「これ、やっといて!」という命令形、年配者には「すみません、これをやっておいていただけますか?」という敬語。 もし、このような言葉の使い分けをしていたら、要注意です。どちらの人からも不満が出やすい環境を作り出してしまいます。
なんでもかんでもハラスメント?
2019年にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が成立。大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されています。ハラスメントにならずに、コミュニケーションをどう活性化させればよいのかお悩みの方も多いことでしょう。 実際「あれを言ってはダメ」「これに触れてもダメ」と〝自主規制〞をするあまり「職場でなにも言えなくなった」というビジネスパーソンの声を、私は何千件も見聞きしてきました。しかし、ハラスメントを恐れるあまり、コミュニケーション不全に陥ってしまっては本末転倒。生産性まで低下しかねません。 たとえば、部下に服装や髪型の乱れを注意したいとき。「そんなことを注意したら、セクハラと言われてしまうかも……」とためらう方が多いようですが、見た目にまつわる指導も上司の役目の一環です。「伝え方」に気を遣えば、即ハラスメントになるというわけではありません。

「社会人らしい」「常識的」などの言葉は、人によって定義が非常にあいまいです。また、業界や職種によっても基準は変わるため、これでは不親切な注意になってしまいます。さらに言うと「Aさんみたいな服装にしてください」とほかの人を引き合いに出すのは言語道断! 比較はトラブルのもとになるということを肝に銘じておきましょう。誰かをお手本として挙げるのではなく、その会社で定められているルールを言語化して伝えましょう。

服装の指導も上司の大切な役目です。それぞれの「職場のルール」を具体的に、はっきりと提示しましょう。たとえば髪色。「明るくなりすぎないように」では、個人の感覚に頼るしかなく混乱します。一目で誰もがわかるようにすることが大切です。「これより明るい髪色は禁止」と毛束の見本を用意している企業などもあり、明確にすることがトラブルを防ぐコツです。
また、「制服には"パンプス"を合わせる」というルールを伝えたいとき、パンプスと一言で言っても色々な種類がありますので、より限定したいのであれば「つま先もかかとも露出していない、足先のすべてが覆われているパンプス」と定義すれば、よりわかりやすくなります。
仕事が遅い部下がいるとき、上司はどうすべき?
どんな人にも得意、不得意はあるものです。上司が部下ひとりひとりの資質を見極めて、部下に上手に仕事を振ることができれば、職場全体の効率がアップします。一方、不得意なことに対して嫌味を言ったり、できないまま放置したりすれば逆効果になりかねません。上司の手腕が求められるシーンです。

部下の作業の遅さに気づき、声がけすること自体は問題ありません。しかし、そこで「今日も残業するの?」「もしかして、パソコン苦手?」といった嫌味のようなフレーズを投げかけても、相手を傷つけるだけ。状況はなにも改善しないどころか、ハラスメントにもつながりかねません。先の例でもお伝えしましたが、「みんなは普通にできているのに」というように、誰かと「比較」するのは、基本的にNGです。そして、人格否定にあたる「使えない人ね」「〇〇(役職)らしい仕事をしてよね」は明らかにアウト。感情に任せて暴言を吐かないように気を付けましょう。

部下の遅れに気づいたら、状況改善を試みること。

①「作業に時間がかかっている原因を、本人に直接聞く」、②「これからどうするといいのか、具体的な指示を出す」という2段構えで、早めの対策を立てましょう。 特に大事なのは①の本人へのヒアリング。部下を威圧するのではなく、何が問題なのかを共有しましょう。話しやすい態度で、耳を傾けられれば理想的です。 是非、好かれる「神対応」にシフトして、言いたいことが言える関係性を構築していきましょう。