私たちが日々当然のように使っている、便利な家電。それがどれくらい電力を使っているのか知っていますか? もし節約のつもりで10年前の家電を使い続けているなら、それは逆に電気代を浪費しているかもしれません。 光熱費高騰が案じられる今、本当に省エネルギーで節約できる方法はどんなものなのでしょうか。今回は、お財布も地球環境も守ることにもつながる「省エネ」について解説します!
- 家庭でもっとも電力を使うのはどの家電?1位は夏冬に欠かせないアレ
- 50年前と比べて電力消費は大幅増!家庭での使い方を見直して
- 省エネ・節約の考え方「減らす」「ずらす」「切り替える」
電力を消費するのはどの家電?
冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン……。ご家庭にはたくさんの家電がありますよね。どの家電がどれくらい電力を消費しているのかご存じでしょうか?

上図は夏と冬それぞれで、家庭の電力消費が多い日の家電の電力消費の割合です。 電力消費量が多い順に、「エアコン」「冷蔵庫」「照明」と並びます。この3つだけで、なんと家庭の電力消費の5割以上を占めているのです。 つまりこの3つを節電できれば、家庭の電力消費を大きく抑えられるとも言えますね。
家庭でのエネルギー消費が急上昇!

家庭での電力消費なんて微々たるもの……と思っていませんか? 実は50年前と比較すると、家庭のエネルギー消費量は約2倍に増加しています。 これは、生活がより便利でより快適になるようにライフスタイルが変化したことや、核家族が増えて世帯数の増加したことなどが理由とみられています。

エネルギー源には、電気、ガス、灯油などさまざまな種類がありますが、50年前と比較して大幅に増加しているのが「電気」の使用割合。現在使用しているエネルギーの約半分は、電気によるものです。 これは家電機器が普及したことや、家電が大型化・多機能化したこと、そして近年のオール電化住宅の普及も要因として考えられています。 なお全消費電力の5%以上が待機時の消費電力と言われています。待機電力は近年減少傾向にありますが、まだ削減する余地がありそうです。
省エネの工夫
家計のためにも地球環境のためにも考えたい省エネや節約のこと。家電の使用頻度を極端に減らすのは難しいですが、工夫の仕方はいろいろありますよ。
節約の考え方「減らす」「ずらす」「切り替える」

家庭のエネルギー消費の50%以上は電気です。家庭で省エネを進めるには、電気の使い方を見直す必要があります。 家庭で省エネ・節電を進めるためには、「減らす」「ずらす」「切り替える」という3つの方法があります。 「減らす」とは、電気製品のムダな使用を控えて文字通り消費電力を減らすことです。使用していない家電のプラグをコンセントから抜いておく、省エネモードがあれば活用する、などがあります。 「ずらす」とは、電気を使う時間帯をずらすことです。エネルギーを使う量は変わらないので省エネにはなりませんが、ピーク時を避けることで電気代の節約が見込めます。電力会社によっては夜間割引などのプランが適用される場合もあります。 「切り替える」とは、省エネ型製品へ買い換えるなど他の方法に切り替えることです。 古い家電や機器を使っている場合は、新しい省エネタイプに買い換えることで、エネルギー使用量も電気代も抑えられる場合があります。
省エネ商品に買い換えてみる

家電をはじめとするあらゆるエネルギー消費機器は、近年大幅に効率が向上しています。 たとえば、今どきの冷蔵庫は10年前と比べると約40〜47%の省エネに、電球形LEDランプは一般電球と比べると約86%もの省エネになると言われています。 年季の入った家電を使っている場合は、買い換えることで快適になるだけでなく節約につながるかもしれません。一度、今使っているものと最新のものはどれくらい消費電力が違うのかを見比べてみましょう。 ※実際の省エネ・節約効果は製品によって異なります。
住宅を省エネ住宅にする

家庭のエネルギー消費の約30%を占めていると言われる冷暖房。この冷暖房のエネルギー消費を抑えられる住宅のことを「省エネ住宅」といいます。 省エネ住宅は、冬に熱を逃がさない「断熱」と、夏に熱を侵入させない「日射遮蔽」の機能を備え、「気密性」が高い造りなのでわずかな冷暖房でも快適に暮らせるのが特長。 冬は家の中の暖かい空気が逃げないため、部屋内や部屋間の室温がほぼ均一で、夏は室外からの熱気が入らずに涼しく過ごせます。 省エネ住宅は、省エネや節約が叶うことに加えて、満足度の高い暮らしができる快適さも兼ね揃えているのです。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)も注目

近年ハウスメーカーでは「ZEH(ゼッチ)」の普及が取り組まれています。 ZEHとは「断熱」「省エネ」「創エネ(太陽光発電など)」によって、家庭での消費エネルギーを実質ゼロにする住宅をいいます。 2020年のハウスメーカーが新築する注文戸建住宅においては、約56%がZEHとなりました。 住宅購入を考えている方は、ZEHにも注目してみてはいかがでしょう。
できることから節電を!

省エネは、節約はもちろんのこと、地球環境を守ることにも役立ちます。 しかし省エネを追求するあまりに冷暖房を我慢するなどの無理をすると、長続きはできません。 家庭での省エネのコツは、無理なく取り組めること。ライフスタイルに合わせて末永く続けられる方法を探してみましょう。
参考: 省エネポータルサイト(資源エネルギー庁) https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/index.html 「令和元年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2020)(資源エネルギー庁) https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2020html/
ライター:小高未絵 監修:エンサイドコンサルティング株式会社